おやゆび姫のシンデレラ・ストーリー 12

久しぶりに大阪に行くついでに、ン十年ぶりに、自分の生まれ育った町と、学生時代を過ごした、母校のある町に行ってみました
所々に面影は残るものの、全く様変わりしてしまったところもあり、何だか記憶がパッチワークのようにちぐはぐで、不思議な感じでした
あのあたりは、15年前の阪神大震災でかなりの被災地であったのかも知れず…そうではなかったにしても、私が彼の地を後にしてから流れた時間の長さに、圧倒される思いでした
あまりにも変わりすぎていて、懐かしさがこみあがってくる余地もなく、おセンチになる間もなく、意外にサバサバした気分で回ってこられ、結果的には良かったです
私は長い間、泣くことができませんでした…泣くと、自分の不幸や不運、負けを認めて、運命に屈してしまうように感じていたようです
ラオを不意に亡くして、それまで何年間も強固に抑え込んでいたものが吹っ飛びました…無防備に、感情のままに泣いている自分に、自分が一番驚く有り様でした
今回は、夫の死で分断され、過去に置き去りにしたままの、自分の片割れを拾いにいくようなつもりで出掛けたのでしたが…既に泣く必要もないほどに、今の自分が地に足をつけて立っていることを実感できて、心が落ち着きました
夫が学生時代に下宿していたアパートのあたりも歩いてみました
当時の未熟だった自分自身や、道半ばで別れることを余儀なくされた、彼と私と子供たちの運命をも、恨みや怒りや悔恨の念なしに、静かに眺めることができるように感じました
すべて過ぎたことなのだと…やっと心身ともに健康を取り戻せたと、自信が持てました
堂々巡りの迷宮から抜け出して、また私自身の人生を、楽しみながら歩いていきましょう