おやゆび姫のシンデレラ・ストーリー 18

困難に敢然と立ち向かう〜なんて、カッコいいことは、並みの人間にはなかなかできることではないのでしょう
人それぞれ、対処の仕方に違いがあるし、どれが正解なのかは、分からないことだらけなのが、人生というものなのかも知れません
頑張っても報われるとは限らない、何の因果で?と思いたくなるような不幸が、突然襲ってくる、理不尽で不合理で、納得なんか到底できない…そういうものなんだと、よく理解した上で、したたかに喜びや楽しみを見つけだす術を身につけることこそが、幸せになる方法なのかなと思います
可愛いバラ娘たちの新芽や、小さなつぼみにびっしりつく、緑色の米粒みたいなアブラムシを、私は情け容赦なく、指で挟んで潰しますが〜虫の側からみれば、ごく普通にお食事してたら、いきなり爆撃されたようなものなんですものね
ランダムに降り懸かってくる火の粉にめげず、踏まれてもむしられても、しぶとく生き延び、蘇り、天命を全うする雑草魂〜
私の座右の銘はこの「雑草魂」です
夫がガン告知を受けてから亡くなったあとの10年ほど、私は自分の運命を直視できず、死んでいるも同然な日々を送っていました
全力で夫の闘病を支えていたつもりでしたが、自分のやってきたことが果たして正しかったのか?という自責の念にとりつかれ、息子たち共々取り残された不安と重責に圧倒され、完全に自信を失ってしまいました
一番状態の悪い時には、何も考えたくなくて、病院でもらった睡眠薬で、自分を眠らせる以外に、方法を知りませんでした
対人恐怖症のような引きこもり状態で、まだ保育園児だった末っ子を地元のお祭りに連れて行ってやることもできず、お金だけ持たせて一人送りだし…息子はりんごあめをひとつ、私のために買って、すぐに戻って来ました
りんごあめを持ってニコニコ顔で坂道を駆け上がってくる息子の姿は、今も脳裏に焼き付いています
お祭りに行けない病気の母親を案じてくれる息子の優しさに感謝すると同時に、こんなに小さい子に心配かけて、自分は何てダメな母親なんだろう…と思うと、その情けないことといったら、ありませんでした
私が自分の意志と力で、再び歩き始めるのを、急かさずに遠くから見守ってくれた両親や友人には、本当に感謝しています
そして「親はダメでも子は育つ」を地でいってくれた、わが息子たちにも…
人生に、色も匂いも光も感じられない、頑なだった心が、少しずつ感覚を取り戻していった頃、私はベリーダンスに出会ったのです