音色との出会い

国際音楽祭NIPPON初日の公演は、芸術監督の諏訪内晶子さんとレイフ・オヴェ・アンスネスさんのデュオ
諏訪内さんの滑らかな弓使いが生み出す音色の、艶やかで気品の高いこと…
弓を引いて音を出している、という感じが、全くしないのです
CDでは、「あまりに綺麗すぎて、線が細い」印象だった諏訪内さんのヴァイオリンでしたが、実際は、細やかでかつ、雄弁な、素晴らしい演奏でした
ピカピカ艶々に磨きあげられたストラディヴァリウス「ドルフィン」は、カブトムシみたいに可愛らしく、楽譜にじっと視線を据えて演奏する彼女の姿には、真摯な謙虚さが溢れていました
アンスネスさんの、綺麗な優しいピアノとの相性も抜群
前衛的なウェーベルンの小品も、大好きなクロイツェルも、大きな満足感に包まれて聴かせていただきました
前日の、樫本大進さんとコンスタンチン・リフシッツさんのデュオが、私にとっては予想外の不発だったので、音色との出会いも、相性というか、組み合わせというか、タイミングというか…本当に微妙なものだと、つくづく思いました
素直なヴァイオリンと個性的なピアノの組み合わせは、私がピアノを聴きに行ったのであれば、それで良かったのでしょうが、ヴァイオリンの存在感が薄く、どちらの演奏者も好ましいにも関わらず、不本意なものに終わりました
会場の音響の問題も、あるかも知れませんが
再来週の、音楽祭最終日の演奏〜諏訪内さんと、チェロとピアノとのアンサンブルも、とても楽しみです
会場には、諏訪内さんが18歳でチャイコフスキー国際コンクールで、史上最年少で優勝した当時の写真も展示されていました
初々しい少女が、自らの力で、美しく雄々しく羽ばたく姿に、感動し、鼓舞される思いです